20151007

バストリオ#7『ニュークリアウォーター』が終わりました。追加含めて全9回。
初めて一緒にやる役者の皆さんと出会ってから約半年間、稽古を重ねて本番を迎えて、そこから楽日までのじかんを作品の為につぎ込んできました。新しい人たちとの出会いと共有はとても大変なことで、それらを丁寧に大事にやってきたことが作品の輪郭をつくってきて、このようなかたちで作品は生まれました。
とにかく感謝です。このような時間を積み重ねていけたのは、役者たち、スタッフの方々、それから関係してくれた協力してくれた人たちのによるもので、久しぶりの大所帯で大変で精根尽き果てましたが、とても楽しい日々があったのは積極的に関わってくれたみんなのおかげです。
ほんとにありがとうございました。
なによりも見に来てくれたお客さんには感謝しかありません。

本番も生きもののように形を変えて崩れてしまう日がありましたが、楽日には達成があったと思ってます。
つくるということへの熱量は上がっていく一方です。
やれることやテクニックはどんどん増えていましたが、それだけじゃない、もっと広がりをもった作品へと変貌させる為にも可能性を増やせるようにと新しい試みを行い、昇華させていく日々はとても消耗するような時間でしたが、なにより、だれもが無視をしてしまう興味などもてないと距離をとってしまうような事を突き詰めて考える事ができたことは絶対に通るべき道で、これから作品をつくっていくことへの糧になったと考えています。
大変でしたが、充実感は溢れています。

役者のみんな、演出助手のみんな、音楽の杉本さん、衣装の告鍬くん、音響で参加した島くん、岡村さん、照明をつくってくれた下田さん、記録映像を担当してくれた和久井くん、写真を撮ってくれた黒木さん、シェルマンさん、新藤さん、インタビューしてくれたminamoの安永さん、当日受付などを手伝ってくれたみんな、バストリオメンバー、そしてコメントをくださった飴屋法水さん、トークに来てくれた佐々木敦さん、八角さん、アフターライブをしてくれた滝沢朋恵さん、これからも縁があれば一緒につくっていけたらと思っています。よろしくお願い致します。
16時間ほど泥のように寝ました。あたらしい時間をはじめます。
それではお元気で。

20150928

稽古前に。
初日まではどうなるかなんてわからないですが、いい通しを一度だけ見ました。
この人たちとやったのだと、自分ではっきりと感じ取ることが出来た通しはまだその一度。
新たに立ち上げていく為の集中力が全てで、なぞったりこなしたりする人を見るのは不愉快なので、失敗とかないので出し切っていただければと思ってやるだけです。初めて一緒にやる人たちと共有することはとても難しかったけど、人とやってるんだから当たり前です。

じゃあ、これは演劇なのか。
よくわかりませんが、稽古をして初日を迎えるまでの積み重ねが作品となります。
営みというのか。
いまはやるだけです。10月1日から5日までSTスポットでやります。
よろしくお願い致します。

20150922

久しぶりに書きます。
いったい何から書いていいのか、作品のことをずっと考えてるとしか言いようがなくて、揺れつづけることはいつだって難しいです。雰囲気とか空気感とかクソ食らえなので、そういったものにならないように必死で、なにより今回集まった初めて一緒にやる人たちをもっともっとよく見せたいし、意識的にじぶんを軽んじることなく立てるようにひたすら見続けるしかないし、全然まだまだ足りないし、時間も足りないし、ひたすら作品とも人とも向き合って、発見と発明のために本番までの時間を一分一秒も無駄にせず、すべて作品へとつぎ込むしかないのです。生きものを育てるようなものです。こうやって理由ではなく、作るってことを生み出すことを見つめるしかないのです。演劇について語りたくなんてないし、わかった気になるほどバカではないし、思い入れもありません。
単独でやってきたつもりです。

演劇っていうものがどういうものか知らないし、自分がつくっているものがなんなのかなんて簡単に説明できません。それが僕の見てる世界だとしかいいようがありません。
みんなが騒ぎ立ててる時にだって、ひたすら静かに悲しみと向き合っている人たちが遠くで生きているということが簡単に忘れられていくことが、怒りや悲しみを通り越して、ほんとにそこから感じるものがある。だれもいない風景に心が揺れている。もう同じとか違うとかでもなくなってるんです。自分の生きている時間の外にあるものを見ることから目を背けずに、絶望とも違った、ちいさな光といえるようなものがあるのか、最後までやってみます。
徹底的にやったほうがいいです。
これからすべて捨てて向き合います。

20150911

そのままでも充足してる。
何も変えなくてもそこにある身体から。
ないものをあるように見せるときに情報からではなんも引き出せない。
態度は本当に難しい。ずっとキープなんてとてもできない。
と、思っていない姿は、怠慢でしかない。
などと考えて、稽古の日々を続けています。

書こう。
今夜中にひとまず決める。

20150907

「ストリーム/流れ」について沈思黙考。
果てにまったく眠れない。作品のことばかり。
しんどい。でも満ちてきた。

バストリオの野性から一ヶ月。なるべく早めにvol.2を。
その前に、vol.1『海ではない陸ではない』のサイト用写真を選ぶ。
写真は黒木麻衣、映像は和久井幸一で、『ニュークリアウォーター』もいきます。
そして今回選ばれていないけど面白い写真がいくつもあったので一枚。

20150906

草が激しく生えているのを見ました。
虫の声がしています。夏が終わると、たくさんの命がおわることを考えます。
『ニュークリアウォーター』の時間は続いています。
ただそこにいることは本当に難しい。役者たちはいきものです。

川の流れに足を浸して、そのまま流れていくものの先を見つめると暗闇があって、そこには色などない。色がないと感じてしまうものをじっと時間をかけて見つめていると、やはり色はあって、濃く沈んでいる。手間にピントが合う。現れた、光を集めて葉が凄まじく揺れていて、鮮明に見えた。面白い。放棄しなくては見れない。発見してただ見るつもり。風景はある。奥底にあるものは見えない。気持ちに手を伸ばすことをやる。初めてやる劇場の白い箱の中で。

いまはしつこく沖縄のことを考えている。
それは不可能だからだ。

20150818

これから新しい時間がはじまる。
『ニュークリアウォーター』稽古初日。
一人一人と作っていくことを直接話していく。面倒だと思われることは大事なことだ。
そして、発表を作っていく。
とくに演出助手の三人が良い発表をした。あのような感覚をだすのは簡単じゃない。
それぞれよかったけど、和田さんの「終わらない」って言葉と発話が、印象に残る。
ひたすら作業をつづけていくし、可能性を探りつづける。
常に過程。それを見る。

20150815

終戦記念日。
友人の齊藤庸介さんに誘われて映画を観にいく。ポレポレ東中野は久しぶり、だいぶ前に大嫌いな映画をみて新宿まで歩いて帰ったとき以来だ。もっと前に編集を担当したドキュメンタリー映画『ブラジルからきたおじいちゃん』が上映されたときに来たとおもう。
今回は『沖縄 うりずんの雨』というユンカーマン監督の映画である。ユンカーマンさんは佐藤真さんの友人であり一度だけお会いしたことがあった。いま、とても、沖縄に興味があって見なくてはと考えていたのでありがたい誘いだった。証言の記録で構成されていて、丁寧なつくりだった。戦争について、レイプについて、加害したことによって地獄に堕ちると繰り返す男のはなしが印象に残り、やはり戦争は最悪だった。当たり前のことを粛々と伝えていき、沖縄の受けてきた重しを感じるシンプルな作り。一度行きたいと思っているけど、まだ行ってない沖縄。澄んだものが汚されてしまうことは、いま考えていることのひとつで、どう感じるかがすべてだし避ける気はない。『海ではない陸ではない』でも考えていたことだけど、さらに先へと思考をすすめたい。自分が感じることだけがすべてだ。

久しぶりの庸介さんはいつもどおり愉快。
ラーメンみたいなマットレスの良さについて熱弁してくれた。

やる事がある。それと心底向き合う。
稽古がはじまる。新しい人たちと何ができるのか。俺はやるよ。
みんなもやって欲しい。

20150812

バストリオの野性と滝沢朋恵による『海ではない陸ではない』は無事におわりました。
この作品では大きな発見をして、変化し、あたらしい感覚を得ました。耐えることによって見えたものがある。ここまでいけると思ってなかったのですが、やってよかったと、改めて滝沢さんには感謝です。なにより稽古を含めてよい雰囲気で作品をつくっていけたことで、仲良かったなあこの座組はと、珍しくすこし寂しくなる。楽しかった。

砂川さん、酒井さん、橋口くん、メンバーの橋本さんと新穂くんと狗丸くん、そして音響の岡村さんの丁寧な仕事には作品の大事なところが支えられました。今回は照明と音響における演出上の発見があり実りがあったと感じてます。
出演者、関係者の皆さん、映像を撮影してくれた和久井くんたち、記録してくれたメンバーの黒木さん、手伝いにきてくれた渡邊さん、石田さん、萬洲くん、坂藤さん、そして見に来てくださった方々、ありがとうございました。お客さんのなかには久しぶりの人がいて、出会いというものが与えるものは素晴らしいなあと改めておもいました。再会ほどの喜びはないですね。
10月に新作を控えてます。タイトルは『ニュークリアウォーター』。
というか、もうすぐ稽古ですよ。いまは止まることなく更新していくことです。

みんなで終演したあと車を飛ばして山へと行きました。
冷たい川のなかに足をいれて森の方を見つめているといままでと違う広がりを感じた。
葉が揺れているのがはっきりと見えた。今年はこのまま行くつもりです。