20160329

20160329

春の匂い。
近所の桜並木もピンク色になってきました。
三月はこどもえんげき部の日々でした。足立区西新井にあるギャラクシティという児童の為の施設にてこどもえんげき部の講師をつとめて早三年。今年度も子供たちとの時間を半年間にわたって過ごしてきました。とくに教える事はないけど自分のやり方を見せることはできる。試行錯誤しながらの日々は大変でした。
子どもと向き合う事は難しくて、ごくたまに大きな声で叱ることもある。うまくいかないことと向き合っていく。
でも、だからこそ本当に面白いです。

「あたらしい朝」というタイトルをつけた発表会の日はやってきた。
きょうこ、しんぼ、ゆうすけ、りさ、ひかる、ののか、えみ、ねこ、きー、みっちー、きせき、よう、が見せてくれたあたらしい朝。
12人の役者たちの本番はとてもよかった。きょうこは三年間ずっと通ってくれたから成長をみていたので、最後のシーンは感動してしまった。
楽しいからやるだけじゃない、みんながそれぞれ考えた自由を使えることが大事で、出来たんじゃないかとおもっています。
未来を見つめて言葉を発するエンディング、そして四年目のこどもえんげき部も決定しました。また会いましょう。

あと、ここ最近でとても大きな出来事があった。
今年に入ってバストリオにて「SELF AND OTHERS」という作品を発表するにあたり向き合った大学時代の恩師である佐藤真という存在、じぶんにとって大きな存在である佐藤さんに、様々な事を経た今だからこそ創作してきたじぶんの経験を持って佐藤さんについて再考したかった。その作品をつくる流れで新潟の阿賀にも初めて足を運んだ。そこで出会えた「阿賀に生きる」という映画の仕掛人である旗野秀人さんとはすごく大切な出会いとなった。
そして不思議なタイミングで一冊の本が出版された。「日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学」という佐藤真さんに関する本が今になって発売されるなんて考えもしなかった。読んだらとてもいい本だったし、なにより佐藤さんの奥さんや娘さんの文章と、佐藤さんとカメラマンの小林さんによる往復書簡がすばらしかった。
そして出版される記念として佐藤真さんの上映会がアテネフランセであるというので、こどもえんげき部で忙しかったけど出来るだけ行くことにした。上映会場では旗野さんとも再会する事ができたし、佐藤さんの生徒の方や本を出版された方もいらっしゃって挨拶できたし、さらに嬉しかったのは佐藤さんの奥さんと話したときでなんだかお互いに涙があふれた。娘さんにも会えた。自分の人生にとって大切な存在であった佐藤さんが大切にしていた人たちと時間を共有できたことは、2007年の佐藤さんの死後からずっと心にひっかかっていたものが溶けていくような時間だった。
最終日、「OUT OF PLACE」をみることにした。佐藤さんに連れていってもらった山形ドキュメンタリー映画祭で見て以来だった。
アフタートークに諏訪敦彦さんが来るということがとても大きかった。どうしても諏訪さんの言葉を、佐藤真という存在がどのようなものを残していったか、そしてどんな人だったか、個人的にどうしても確かめたい事が前からあって、そのことを話してくれるんじゃないかって期待していた。勝手な想いだったけど、自分が聞きたい言葉を諏訪さんだけが話してくれるんじゃないかって、そしてそれは自分がいまはっきりと感じ、考えてる事と一致するんじゃないかと、勝手だけどそんなことを考えながら会場にいった。
で、詳細はここに書いても仕方ないので省きますが、やはり諏訪さんから聞けました。うれしかった。そのことを確認できた事はこの9年間で絡み合っていた何かを解くようなものだったので、一人で会場を出てずっと噛み締めて歩いた。勝手な想いなんだけど、たしかに胸に刻まれた
打ち上げにも誘っていただいたけど断りました。残念な気持ちもあれど、これはひとりで強く持っていきたい。
ほんとに大事なことは共有したくない。
そんな事があったので、これまで通りの実践と、これからさらに先へと自分が実践できるのかをじっくりと考えつつ軽やかにやっていけたらと。
生きていくためにも。いま、そんな感じです。

20160309

SAO2

お久しぶりです。今野です。
ここに書く機会を失して、早くも三ヶ月が経っているのですね。
いまのホームページのサーバーがどうしようもなくて更新意欲が落ちていましたが、すこしでもここになにかを書こうとすこしの報告です。

2月ですが、バストリオの野性という連作シリーズにて、vol.2『SELF AND OTHERS』という作品を発表しました。
佐藤真さんと牛腸茂雄さんのまなざしを考え感じながら、個人的な記録と記憶について向き合い、そして新潟にもフィールドワークに行きました。
出演にはミュージシャンの滝沢朋恵さんと、新しくニブロールのダンサーである小山衣美さん、そしていつも一緒につくっているメンバーと、ギャラリーで上演することができる作品をつくってみようというのが始まりでした。なにより、今回は自分の師ともいえる佐藤真さんに触れる作品だったのでとてもナーバスになりましたが、はじめての阿賀への訪問などによってドキュメンタリー漬けの大学時代の記憶が蘇り、この作品を亡くなった佐藤さんがふらっと見に来るんじゃないかと思ったりして「これは間違えれないなあ」と一人慌てていましたが、発見と確信を得た公演となりました。
前日に出演者がひとり急にいなくなるという緊急事態と向き合うことによって、絶望的な会議を深夜まで行ったのちに前進した事で大いなる発見があったのは刺激となりました。言葉で書くのは難しいのですが、ひとつ抜け出したような感覚の持てた作品でした。ほんと、ピンチはチャンスですね。
「変容」というものを考えた作品だったのですが、あと二作品ほど考えていく所存です。

スタッフにも恵まれました。
音響も照明も信頼できる方と一緒にやったことで作品のクオリティは保証され、今作はなにより映像の和久井くんやメンバーの黒木さんの存在によって作品が高まっていくのを見ました。心地いい日々でした。

そして一日だけでしたが、ドキュメンタリー映画『3人、』の上映を行えたことはよかった。奈良から南波さんとひろみちさんも来てくれて、とても嬉しかった。このように上映をつづけていくことは、あまり見る機会のないドキュメンタリーという活動においてはすごく重要なことだと思い、今回は舞台と一緒にやってみようと思い立ちました。そして正解だったと思っています。
見せたい方に見せる事が出来てありがたい感想までもらい、とても勇気を得ました。ドキュメンタリーという言葉はこの世で便利に使われていますが、ほんとのドキュメンタリーというのは実はなかなかないです。テレビのなかには皆無です。僕の作品はドキュメンタリーです。このようにこれからも作っていきたい。
今回、映画も演劇も、どちらもどちらかでも、見にきていただいた方々には感謝です。さらに先へと進みます。

いまは足立区で三年目になるこどもえんげき部をやってます。男の子が多いのが影響してるのか、明るくくだらないものが多いので雰囲気が明るいです。子供たちと未来をみつめる作業は、新しいものをつくる日々はとても充実したものです。仕事ですがこちらが楽しませてもらっています。3月末の発表会へ向けてやりますよ。
それでは皆さん、お元気で。

20160102

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
実家の仙台で過ごしています。
かなり寒いです。珍しく年明けに服を買い、すごく暖かいので乗り切れそうです。
浅草寺でひいたおみくじは末吉、Future fortuneと書いてたので悪くないですね。

バストリオは去年いろいろと作りましたし、個人的にも海外に行って体験したことはこれまでのことを肯定されたような気持ちがあり、有意義なことが多かったようにおもいます。
振り返ると、1月にHEADZのイベントに出演して杉本佳一さんと松本一哉さんと『Nowhere,yes』というライブパフォーマンスをやり、3月には足立区西新井ギャラクシティでやっているこどもえんげき部の二年目の発表会『夢みたい』を、4月に新作のためのWSオーディションをやり、6月にはドイツ・フランクフルトで開催されている世界最大級の日本映画のショーケースと呼ばれる映画祭「ニッポン・コネクション」に映画『ハロー、スーパーノヴァ』を携えて参加しました。映画祭がおわったあとにはベルリン、パリなどをめぐって特にドイツで見た演劇には刺激をうけました。8月には個人的に野性シリーズをスタートさせて第一弾は滝沢朋恵さんと役者たちで『海ではない陸ではない』を神保町・試聴室にて上演し、10月には横浜STスポットでバストリオ初の劇場本公演となる『ニュークリアウォーター』をやりました。12月は最後にWS『一回転』をやって出会いといい時間を過ごせました
なんだかんだと動きまわり充実した活動です。ありがとうございます。
で、感謝と共に、歩みはつづけようとおもいます。実験的なことを重ね、引き出しはかなり増えてまして、テクニックが増えることは良いことです。でも弊害もあって、このへんと向き合って立ち上げるために壊していく作業はもはや次の段階へ。もはや更地です。
この5年間見えなかったものが現れたことはとても大きいので、その先に見えている真っ暗闇に手をのばすことにしてみます。
今年は舵をきるための準備段階で、もしかしたら一気に転換するかもしれません。作ることと向き合ってやっていけたらその先には新作となる映画制作が待ってるのではと考えております。

そして、バストリオという活動にはメンバーがいます。
橋本和加子は役者や制作として、新穂恭久はデザインやプレイヤー、そしてラッパーとして、黒木麻衣はデザインや写真家として、狗丸トモヒロは役者として、さらに一皮むけていくように共に成長を、特に感謝を。

では、2016年、よろしくお願い致します。

20151207

ああ、12月だ。
潜っていた、その状態について書きようもなく、その場所でしか見えない景色もあるのに気付いていく時間がずっとあった。時間は尊い。くそったれだ。なんでもないキッカケはふと現れて、手が差し伸べられる。
ほわが肩にむかって飛んでくるように。

人の映画に出演することになる。はじめて役者をやることになった。
役者をやる経験はほとんどなかったけど一緒にやりたい人だから引き受ける。
数少ない友人である菊沢さんからの誘いに取り組む日々が現れて、気付くと沸き上がるものがあった。難しいので面白かった。タイミングというのは不思議なもので、ただただ現場にいることが、その現場にいた人たちが自分に与えるものは大きかった。菊兄さん、ゆいちゃん、ありがとう。確認なんてしたいわけではない。権威的なものは絶対的で退屈で虚しいだけ。
そんなものはとっくにわかりきっている。

バストリオという場がある。演劇であるかどうでもいい。これは場だ。
決まっていたワークショップに取り組む。人と出会うということ、共有が可能かどうかということ。それは成功も失敗も内包していて、第一印象を一緒につくっていく作業で、その最初の感触はどうにでもなるはず、なのに、固まったままではもうその時点で決着はついている。出会いはいつもの扉を開けたふりをするだけなら簡単だ。それはやはり良い事ではない、とおもう。
そして場は二日間で終わる。閉じる。でも終わらない。
毎回出会い、離れるけど、面白い人が来てくれた。参加者の皆さんありがとうございます。
誰でも良いわけではないのだから、その何かを、つくっていくことに必死で取り組む。
参加者の皆さんと短時間で共有することなど限られていて、でも、その限られてることに取り組んで、あたらしい時間が遠くに見えてくる。何度でも言いたいことなのだけど、時間は尊くて、そんな時間との付き合いかたこそがいま考えなくてはいけないことだ。

笑いはある。構造よりグルーブ。壊すのは虚しい。どうせ勝手に壊れる。
どんな言葉も裏切られる事はない。イメージで溶かしたい。
ただただ、ほんとにシンプルな事として終わらせたい。

20151108

文鳥を飼い始めた。命短しだが、
その命を受け止めて見届けるのだからそれでいい。
名前は「ほあ」、まだ雛だ。
一日に4回の餌をくちばしの先まで運んであげると、ちいさな声を上げる。
小さくて凄く綺麗なのでした。

日々はある。
じぶんで食べるご飯はじぶんでちゃんと作ることにし始めた。食材を選んで買う。
それはどこからやってきてこの口の先まで運ばれて、食べる事を選ぶのか。
そんなこと、考えながらも食べなきゃ死ぬので食べなければいけないですね。

バストリオですがホームページを新しくする予定でして、まずプレサイト完成です。
デザインを担当するシンクロ(新穂と黒木)に任せています。
バストリオに関する情報など新しいものが沢山ありますのでぜひ観て欲しいです。
http://paru3816.wix.com/busstrio

さらにバストリオはワークショップをやります。定期的にやろうかなと考えてます。
まずは「一回転」というタイトルで。12月5日、6日です。
新しいサイトに情報があります。ぜひ参加してみようという方はぜひ。

20151105

北千住に住んで七年目になる。
おなじ街の変化に目を向けて暮らしている生活だ。
些細な発見にも驚くほど敏感になっていくことになっていき、それは楽しい事だ。
再びこの街で映画を撮る気持ちが強くなったので、やると決める。
おそらく来年の5月から6月までの季節で新作を撮ります。

いつも散歩しているコースにある神社の裏の木も紅葉がはじまっている。
歩く事を忘れていた。
図書館に立ち寄って読みたかった雑誌の記事をいくつか拾う。
阿部和重さんの色による映画論は刺激があった。

なんとなくでなく、僕は命と付き合いたいし、丁寧に暮らしていこうとおもう。
いままでとは違う丁寧さで。それがいまはものすごく大事なこと。
そして4号線沿いの高架下にある「鳥信」という店へ。
小学生の時に飼ったブンから始まり、大学生のときのマイケル、そして映画「ハロー、スーパーノヴァ」に出演したモンに続いて共に暮らす生涯四羽目の文鳥を家に。いまは一階で静かに寝てる。白い文鳥で名前は「ほわ」。お互い生きてる限りどうぞよろしく。

20151023

創作の日々から沈思黙考の日々へ。
この感覚も、この感情も、ただ研き上げて精進し、前進していくだけです。
明日は朝から福岡です。

ちなみに、バストリオのホームページは完全に刷新する予定です。
お待ちください。

20151019

曇りから晴れ。
東京に出てきてからずっとお世話になっている方の結婚式に出席する。
仏前式の手伝いという大役を務めさせていただき、披露宴、二次会と、ほとんど経験する事のない良い一日を過ごさせてもらい、なによりお世話になっている方の幸せそうな顔をみて嬉しいという気持ちが溢れた。上京したばかりの頃、遊園地再生事業団の『ニュータウン入口』という作品に出会えたことで、色んな人に出会えて、本当に良い縁をたくさん貰うことが出来て感謝しかない。ありがとうございます。

庭園では鯉が泳いでた。ずっと生きものを見ていたい。

20151011

公演が終わって一週間も経っていない。
黒沢清さんの映画『岸辺の旅』をみたり、早稲田で友人が出演しているサンプル『離陸』をみたり、六本木SuperDeluxeでTape、minamo、カフカ鼾などのライブをみたり(ジム・オルークが演奏する姿と背中!)、足立区ギャラクシティではバストリオが講師をしている「こどもえんげき部」の三年目が始まったり(超満員)、切り替えるということもなく地続きのなかで、『ニュークリアウォーター』という作品での達成を抱えてまた次です。憤りや喜びと向き合って実践あるのみです。作ってきたことで得てきたものはほんと溢れているけどどうでもいいです。
現場がいいです。御託はいらないです。