春の匂い。
近所の桜並木もピンク色になってきました。
三月はこどもえんげき部の日々でした。足立区西新井にあるギャラクシティという児童の為の施設にてこどもえんげき部の講師をつとめて早三年。今年度も子供たちとの時間を半年間にわたって過ごしてきました。とくに教える事はないけど自分のやり方を見せることはできる。試行錯誤しながらの日々は大変でした。
子どもと向き合う事は難しくて、ごくたまに大きな声で叱ることもある。うまくいかないことと向き合っていく。
でも、だからこそ本当に面白いです。
「あたらしい朝」というタイトルをつけた発表会の日はやってきた。
きょうこ、しんぼ、ゆうすけ、りさ、ひかる、ののか、えみ、ねこ、きー、みっちー、きせき、よう、が見せてくれたあたらしい朝。
12人の役者たちの本番はとてもよかった。きょうこは三年間ずっと通ってくれたから成長をみていたので、最後のシーンは感動してしまった。
楽しいからやるだけじゃない、みんながそれぞれ考えた自由を使えることが大事で、出来たんじゃないかとおもっています。
未来を見つめて言葉を発するエンディング、そして四年目のこどもえんげき部も決定しました。また会いましょう。
あと、ここ最近でとても大きな出来事があった。
今年に入ってバストリオにて「SELF AND OTHERS」という作品を発表するにあたり向き合った大学時代の恩師である佐藤真という存在、じぶんにとって大きな存在である佐藤さんに、様々な事を経た今だからこそ創作してきたじぶんの経験を持って佐藤さんについて再考したかった。その作品をつくる流れで新潟の阿賀にも初めて足を運んだ。そこで出会えた「阿賀に生きる」という映画の仕掛人である旗野秀人さんとはすごく大切な出会いとなった。
そして不思議なタイミングで一冊の本が出版された。「日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学」という佐藤真さんに関する本が今になって発売されるなんて考えもしなかった。読んだらとてもいい本だったし、なにより佐藤さんの奥さんや娘さんの文章と、佐藤さんとカメラマンの小林さんによる往復書簡がすばらしかった。
そして出版される記念として佐藤真さんの上映会がアテネフランセであるというので、こどもえんげき部で忙しかったけど出来るだけ行くことにした。上映会場では旗野さんとも再会する事ができたし、佐藤さんの生徒の方や本を出版された方もいらっしゃって挨拶できたし、さらに嬉しかったのは佐藤さんの奥さんと話したときでなんだかお互いに涙があふれた。娘さんにも会えた。自分の人生にとって大切な存在であった佐藤さんが大切にしていた人たちと時間を共有できたことは、2007年の佐藤さんの死後からずっと心にひっかかっていたものが溶けていくような時間だった。
最終日、「OUT OF PLACE」をみることにした。佐藤さんに連れていってもらった山形ドキュメンタリー映画祭で見て以来だった。
アフタートークに諏訪敦彦さんが来るということがとても大きかった。どうしても諏訪さんの言葉を、佐藤真という存在がどのようなものを残していったか、そしてどんな人だったか、個人的にどうしても確かめたい事が前からあって、そのことを話してくれるんじゃないかって期待していた。勝手な想いだったけど、自分が聞きたい言葉を諏訪さんだけが話してくれるんじゃないかって、そしてそれは自分がいまはっきりと感じ、考えてる事と一致するんじゃないかと、勝手だけどそんなことを考えながら会場にいった。
で、詳細はここに書いても仕方ないので省きますが、やはり諏訪さんから聞けました。うれしかった。そのことを確認できた事はこの9年間で絡み合っていた何かを解くようなものだったので、一人で会場を出てずっと噛み締めて歩いた。勝手な想いなんだけど、たしかに胸に刻まれた
打ち上げにも誘っていただいたけど断りました。残念な気持ちもあれど、これはひとりで強く持っていきたい。
ほんとに大事なことは共有したくない。
そんな事があったので、これまで通りの実践と、これからさらに先へと自分が実践できるのかをじっくりと考えつつ軽やかにやっていけたらと。
生きていくためにも。いま、そんな感じです。