『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』

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『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』をみた。
最初からずっと良い。なんて激しいんだ、女性ってのはやりきる、って別に、差別的な意味合いじゃなくて、だいたい女性の作品に心動かされる事が多くなっているのだから仕方がない。
横浜聡子さんのこの作品のなかには記録されていく人の姿がある。
乱暴だけど、見つめる目がじーっと強く見つめているように感じるから、とても登場人物の目とかに視線が奪われる。反射している。強かったりするその目をどこかで見た事がある気がしていたら、その白い景色に見覚えがあるような気がして、でもそこは日本ではなくて、ソビエト、ロシアとかだったから、もはや変な感触だけが残りながらも、ただ意味ありげなもんはひたすらに一直線で、ドライブする女性の顔とかをただ見つめる視線とか、そのカットはばっさりいくし、登場人物を包み込んで世界に救わせたりしない。ただそこにいる女性が、わからないままで、物語に回収されていく絶妙な技巧だとかからはほど遠い、そりゃそうだ、安住できんし甘えないんだよなと、頷くだけしか出来ず、記録としかいいようのない、憤ったもんが映し出されている。
建物や人物がそこにある。正直だ。
なんて面白い、とだけ思って映画館を出ていく。はっきりとわからないけど、やっぱり、あの映画、あの白い景色の中にただただいた少年や少女のまなざしに似た、主人公の視線に心が揺れていた。
切ない顔とか全然しないんだよ。女性監督は強いよ。ただ見てるんだよ。甘えないんだよ。
だから、横浜聡子さんの映画は俺のなかで面白いもんであり続けている。
だから、見てよかった。おわり。
横浜さんに挨拶をして帰る。わざわざ映画館の外でチケットを持って待っててくれた。嬉しい。
渋谷はめずらしく嫌な街じゃなかった。