Rock and Roll あなたにとって大切なのはココロ
2012年1月27日 – 2月1日|新宿眼科画廊
概要
音楽家の杉本佳一がはじめてバストリオの劇伴を担当した作品。新宿眼科画廊を横長に使い、スピーカーを中心に配置し上演した。
コメント
佐々木敦(批評家)
新宿眼科画廊にて、バストリオ『Rock and Roll』初日。今野さんとアフタートークをしました。そこでも言ったけど、この人たちがやっていること、やれていること、やろうとしていることを、まず第一に自分は理屈抜きに非常に好ましく思っているのだなと再確認しました。固まった主題や定まった物語に収まることのない断片的な場面が、心地よい接続と意外さで連なってゆく。ぼんやりと、だが或る切実さをもって浮かび上がってくるのは、とても大切だったかもしれない、どうでもいいものだったのかもしれない何かを、誰かに盗まれてしまった者たちの、孤独な独白の交錯だ。そこに、音楽、演奏、ロック&ロールという、物語とも主題とも異なるモチーフが、ほのかに、だが確かなリズムと音調で、鳴り響く。音楽は杉本佳一。通常より明らかにヴォリュームでかめのサウンドが、しかし見事に演劇と一体化していた。とにかく僕は、バストリオの役者さんたちの佇まいと台詞の言い方が、大変好きなのだ。幾つも幾つも、理屈抜きにぐっと来るシーンがあった。うまく言えないが、いわゆる演劇の現在形とは無関係な観客にこそ観て欲しい。いや、誤解を招く書き方でした。宮沢章夫さん直系であるバストリオが「演劇の現在形」に無頓着である筈はない。ただ彼らは明らかに、戦略抜きにナチュラルに、他とは違ったことをやろうとしていて、やれていると思う。ミニマルでポストモダンなアメリカ文学の最良の部分の味わいにも似たリリシズム。
クレジット
作・演出・映像|今野裕一郎
出演|
狗丸トモヒロ
大沢まりを
上村梓
今野裕一郎
名児耶ゆり
橋本和加子
萬洲通擴
平石はと子
石田美生
小林光春
宮崎晋太朗
音楽|杉本佳一(FourColor/FilFla)
衣装|安食真+告鍬陽介
宣伝美術・web|児玉悟之
演出助手・音響|澤田栄一
演出助手・照明|石田美生
演出助手|小澤薫 宮崎晋太朗
記録写真|松下壽志
記録映像|黒澤聖覇、田崎恵美、逵真平
制作協力|鹿毛綾、北村恵
制作|橋本和加子
主催|バストリオ