Very Story, Very Hungry
#4
Very Story, Very Hungry
2012年8月29日 – 9月2日|横浜・BankART Studio NYK / NYKホール
作・演出・映像
今野裕一郎
出演
秋山莉沙
石田美生
伊藤羊子
狗丸トモヒロ
児玉悟之
小林光春
今野裕一郎
酒井和哉
砂川佳代子
橋本和加子
萬洲通擴
平石はと子
深川奈緒美
八木光太郎
音楽|杉本佳一(FourColor/FilFla/Vegpher)
衣装|告鍬陽介(catejina)
衣装・舞台美術|安食真
音響・宣伝美術・ウェブ|児玉悟之
記録写真|松下壽志
照明|奥田賢太、大津裕美子
演出助手・照明オペ| 福嶋芙美
演出助手|小林光春 新穂恭久 鈴木徳至
アニメーション制作|奥墨亮介 大塚健太郎
制作協力|鹿毛綾 北村恵 黒木麻衣 嶋崎朋子 山村麻由美
制作|橋本和加子
協力|JAZZ、時々自動、フォセット・コンシェルジュ
主催|バストリオ
俺は近未来だと思っている。
動物園みたいに区画された土地はどこまでも永遠に広がっている。
綺麗な扉から外に出た三人の旅人が馬に乗っている。
男と女は夫婦になって生きて行く。ある日、セックスをする夢を見た。
きっと家族ができるはずだ。嘘みたいに、とてもお腹が減っている。
きっと、どれも、これも、落ちている物語だ。
さあ、地図を描くために連中がやってきた。
家族カムバック!
「憎しみより愛、愚かさより賢さ、不幸より幸福、当然のことだ」と彼は言った。
それが物語だと願って眠りについた俺は、牛乳が飲みたいのだった。
はじめまして。こんにちは。こんばんは。
バストリオで活動している今野裕一郎です。
この度は、数ある演劇のなかで「Very Story,Very Hungry」という作品を選んで見にきてくださってありがとうございます。
いろいろと作るときに考えていることを、すこしだけ書こうとおもいます。
自分は、「演劇」というものがどういうものなのかいまだに定義出来ていませんし、「演劇」を語ることなど出来ないし、したくもないのですが、これは「演劇」だという自覚をもってやっています。
まず、その場で起こることに敏感でいたいと思っていて、能動的なものを見せたいと思っています。それがどのように受け取られるのかなど見当もつきませんし、見当がつくものなら作りません。
想像力というものがあるとすれば、それは、数少ない信用出来るものだとおもっていますので、ぜひ使いたい。
いろんなよく分からないことが起こるかもしれませんが、どうぞご自由に見てください。
分からないとき、それが、その人にどのような状態をつくりだすのかを想像してみようと思います。
そこと向き合ってこそ、作品をつくることは面白いことです。
面白いとは、顔が白くなるくらい光がその人に当たるという意味だと思います。
その為に、ここにいようとおもいます。全部、自分たちでつくってきました。
分からないということが、想像力を奪うことにならないように願って作品を生み出します。
もちろん、自由ということは困難で難しいことだとわかっているのですが、このように作ります。
それは自分の作品だからです。
見にきてくれる方々、見にきていない方々にも、感謝しています。
1時間半です。楽しんで頂けたら幸いです。
今野裕一郎(出典:当日パンフレット)
「ステージは広く、日常に続いていた。
私は舞台の一部のように、話の中に居て、見ている。
役者は役柄を全うするというより、自然に見えた。
今野さんはステージ上で、時に私達観客のように役者を見ていた。
「自分と他人、時間と空間を自由に行き来している人」でもあったのかもしれない。
と、数日経って思った。それ以外にも数日後ふいに納得がいくことがあった。
バストリオの演劇を生で見たのは初めてだった。
数日余韻を楽しめたのは私だけだろうか。
瞬間にパッと透明な街が見え、バストリオの見えない深い部分が感じられた。
ステージに断片がいくつもあり、それをつなぎ合わせる自由さを残している。
ただそこに居て見る、感じるという自然で純粋な気持ちが大切なんだと再認識している。
山崎ゆかり(空気公団)
今野さん達の表現に対する躊躇の無さが頼もしくもあり怖ろしくもある。僕のバストリオに対する印象はそういう感じです。
今回の作品、素晴らしかった。
理由を書こうとするとどうも安っぽい言葉の羅列になってしまってうまくいかないんですが、ひとつ挙げるなら、ある場面でとても単純な感動をもらえたのが嬉しかった。あの感動は、きっといろんな人に伝わるはずと思います。
バストリオの皆さん、素晴らしい作品をありがとうございました。これからも楽しみにしてます!
戸川由幸(空気公団)
バストリオのお芝居を横浜で観た。
会場は広い空間だった。コンクリートがむき出しの壁で、そして大きな鉄の扉があった。
登場する人々は、過去や現在といった時間を、そして芝居と現実との間を軽々と移動して、とても自由だった。
偶然のようにすべてが進んでいたが、とても強い物語がそこにはあった。
色々な所で起きる、色々な出来事すべてが、未来につながっているように見えた。
このお芝居がずっと終わらず、いつまでも観ていられたら、どれだけ幸せだろうか、と思いながら観た。
バストリオの皆さんに感謝したい気持ちでいっぱいです。
窪田渡(空気公団)