別の機会にも書いたことがあるが、僕が最初に観たバストリオは映画だった。
それから少し経ってから、彼らの演劇を観た。
ごく大雑把に言うと、映画は具体的で現実的な場所と人々の生活と日常が物語られており、対して演劇においては寓話的というか箴言的というか逸話的というかそのような不思議な世界が描き出されていた。
そしてこの両輪があって、バストリオはバストリオなのだ、というのが僕の了解だった。
だがこの新作映画では、彼らが演劇において丁寧かつ大胆に追究してきたものが、たくさん持ち込まれている。
もちろん以前の映画が持っていたday to dayの感覚も、ちゃんと残っている。
だからここへきて、バストリオは遂に(と言うのかな?)ひとつの大きな表現に取り組み始めたのだ、そんな気がしている。
おおらかさと厳しさーーそれはこの世界を生きるのに必要不可欠な二大要素だと僕は思うがーーが、この映画のそこここに光っている。
『ハロー、スーパーノヴァ』によせて
未来も現在も過去も混ぜこぜにした表現ができたのは映像の強みだし、そして今野さんの才能だなって思う。
一見ファンタジーって思われる世界を有用することで、自分のリアリズムを届けようとする姿勢がきびしくもあるんだけど、やさしいなと思う。きびしいってことはやさしいんだなってことがホントに痛感させられたかな。
僕自身もそういう表現形態をとるし。モノを創ってる人間として、今野さんたちのような人がいることはすごくホッとしますね。今後も楽しみにしています。
『生きている』によせて
大人たちと子どもたち。みなの目の前には、きっと「今」しかない。
今しかないからこそ、なにかに執着しながらも、忘れてゆく。
執着と忘却の間、大人と子供の間を、皆がふわふわと行ったり来たりしていて他の人には見えないその”間”を見ている監督は、おでこに第三の目を持っているのだろうと思いました。
『信じたり、祈ったり』によせて
2010年|62分|カラー|DV
監督・脚本・編集 今野裕一郎
音楽 kanina
出演 太田順子 橋本和加子 佐藤拓道 サブリナ・ヘルマイスター ホベルト・マックスウェル 深堀絵梨 齊藤庸介 南波典子
川沿いの町には一軒の珈琲屋がある。
そこにはおばあから店を受け継いで一人で日常を過ごしている聡美がいる。
探し物が得意な彼女には習慣があった。
その町に砂漠からやってきた夏子が現れる。
長い旅で力を使い果たした夏子は、聡美によって助けられ生命力を回復していく。
偶然の出会いが何でもない日常をあたらしくする。
それは一人では得られないものだった。
2010年|31分|カラー|DV
監督・脚本・編集 今野裕一郎
出演 渡辺結子 渡辺珠子 齊藤庸介 太田順子 今野裕一郎 渡辺優子 渡辺航
姉のユイコと妹タマコの姉妹が街に住んでいる。
ユイコは塾が始まって勉強が忙しい。だからタマコは一人で遊んでいる。
行ってはいけない河原でゴミを集めるタマコは機械の部品を見つける。
それをUFOのかけらだと信じるタマコは皆に話すが信じてもらえない。
夜にタマコは家を抜け出す。起きたユイコは部屋で心配して待っている。
彼女たちは信じたり祈ったり、流れていく特別な時間。
2013年|カラー|DV
監督・撮影・編集 今野裕一郎
出演 佐藤拓道 佐藤典子 佐藤麓
ふたりの時間。出産。家族が増える。生活はつづく。いつまでもつづく。
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2014年2月22日(土)〜2月28日(金)
レイトショー
連日 21:00〜
@池袋シネマロサ
特別鑑賞券 ¥1,000 絶賛発売中
当日券 ¥1,300
3回券 ¥2,700
info@busstrio.com
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-37-12
池袋駅西口のロータリーの右斜め前方、三菱東京UFJ銀行のすぐ左の先にコンビニ(ファミリーマート)があって、そこに大きなアーチのかかったロマンス通り商店街があります。
ロマンス通りの中に入って約メートル程先の左側にロサ会館があり、そのロサ会館を回り込んだ角に映画館の受付入口があります。池袋西口駅前の地上に出てから徒歩3分ほどです。