20170709

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今日は七月九日、晴れです。
いつも近くのコーヒー屋に行って考えたりパソコンに文字を打ち込んだりしています。
映画も演劇も今まで作ったもののほとんどの台本がここで書いたものです。すぐ店の前を人も自転車も車も電車も並走したまま通り過ぎていくことを気に入ってますしコーヒーだってとても美味しいのですが、唯一不満があるとしたら店内を流れている音楽で、どうしようもなくセンスが悪くて気分が悪くなるので耳にはイヤホンを差し込んでいます。ケーキだって美味しいです。
北千住に今度オープンするBUOYという劇場に行きました。
まだ工事前の姿が魅力的だし使うことを決めました。この夏に、それから工事が終わった11月も使います。

男は正しいことをすると言った。
そのことを一瞬で後悔した。なぜあの時、正しいことをするなんて馬鹿なことを言ったんだ、あんなこともう二度と言ったりしないし、次そんなことがあった時は誰も俺を止めることなんて出来ないと宣言してアクセルを踏みこむ、という物語の素晴らしい始まりをみた。
アルバカーキという町があって、一度だけ行ったことがある。その町のレンタカー屋で一台の赤い車を借りてアメリカ大陸を横断したのは三年前だ。たとえば、マッチさえあれば導火線に火をつけるのは簡単だけど、その火はすぐに消える様なものでしかなく、火が消えたのか消えてないのか分からないまま煙だけが漂っていて、爆発することはなくても火は消えていないみたいで燻っている、その黒くなった先端を見つめたままジリジリと着火された何かは見えないところで燃え上がっているが、そのことを知るものはもうそこにはいなかった。やがて燃え上がる。何故かなんて考えるものはいなかった。車は海岸にたどり着いた。赤い車だ。男は気分が悪くなっていたのでシートを倒して横になった。波の音が聞こえてきたからやはり海は近いのだと思う、でもここからは見えない。シートは倒れている。そのまま誰かがここに来てくれるのを待っていたけど来ないので車を置きざりにして歩きはじめた。すぐ砂だった。砂の上には板が何枚も敷いてあってその上を一匹の犬が歩いていのが見えた、その先は海で水平線だった。考える前に体は動いている。もう波打ち際で足の先には波が当たった。白く砕けて一瞬で消えた。
その一週間後、男は日本に帰った。