11月25日、大分にいます。いい朝です。晴れてます。
大分で有名なアトホールというライブハウスの入ったビルの4階に今は泊まらせてもらってます。家みたいな暮らせる場所で、リビングには各地でいただいてきた名産品がテーブルに並んでおり、食べ物にはまったく困りません。
ここまで4都市ツアーをバストリオと松本一哉さんで繰り広げてます。
今年の夏、8月に東京・谷中にある宗林寺で開かれた萩フェスというイベントで上演した『黒と白と幽霊たち』を、改めて橋本和加子を加えて短い期間でリメイクして、そのままツアーへと突入しました。
この西日本へと向かうツアーが、自分自身の活動に与える影響は大きいだろうと初めから考えていました。これまで演出家として、様々な場所を空間的に扱うことにおいてはこれまでの経験で獲得してきたのですが、次はいよいよ時間だと思っていて、その場所ごとに伸び縮みするはずの時間を、タイムラインを、独立させて並走させるという感覚を得るためにも、定まらない空間を回ってやっていくツアーをやることで発見があるだろうという、修行のような気持ちでした。次にやることが見えてきたタイミングで、松本一哉さんにツアーのアイディアをもらい、そこから紆余曲折ありましたが念願のツアーに出ることになりました。
20日に東京を出発してから、そのまま静岡県浜松の鴨江アートセンターで上演でした。小屋入りして三時間で本番という時間のない中、お客さんがくるかもわからないという状況で、見に来てくれた方々を前に上演したこの一回でモノにしたものは正直大きかったです。力のある役者たちと松本さんが空間に与えたものによって、生きもののように建物が返事してきてるような、バラバラなままで一体化してるような、すごく貴重な上演となりました。この元拘置所という特殊な空間はとても面白かったです。反応も良くて、伝わるぞという手応えがありました。
21日は京都・極楽寺にて上演しました。浜松公演とは全然違うものになり、強度はそのままに変容を受け入れていくものになっていくのが面白かったです。お客さんでお堂は埋まってギュウギュウでした。11月の初めにやった『わたしたちのことを知っているものはいない』で制作手伝ってくれた加藤さんや音響をしてくれた林さんがきてくれて嬉しかった。12歳の子が見た後に興奮していたのでとても嬉しかったです。アンケートに、「こんなことをやりたいです」というようなことを書いてくれました。
22日は移動日で、23日に小倉のエンゲルというスペースでやりました。
移動してそのまま会場で寝て、準備して本番を迎えるというリズムにも慣れてきて、また全然違ったものをやりました。
この日は今年亡くなったばあちゃんに挨拶するために朝から叔父さんと叔母さんにお世話になり、仏壇とお墓参りが出来て、いろんな気持ちが強く出ていくような回となりました。会場にあったピアノで稲継美保に音を出してもらうという小さな演出をしたり、試しながら、それぞれが毎回違うものを提示していくことで『黒と白と幽霊たち』は強くなっていきます。それは面白いとしか言いようがなく、目標の数のお客さんも見に来てくれました。その中に四年前の「フリー」というワークショップに来てくれた大亀さんがいて、本当に嬉しかった。こんな嬉しいことないよ、ってくらいでした。わざわざ広島から新幹線で来てくれて、どうしても見たかったと言ってくれて、感動しました。これまでのツアーの地で来てくれた方々、関わってくれた方々には感謝しかないです。
そして大分へと着きました。
美味いもん食べて、残り二回の本番を、大分舞台芸術フェスティバルでやります。
すでに得るもんは大きいのですが、この二回でまた上がると思います。
九州に知り合いがいる方など、ぜひ。良いものを見せたいと思ってます。