迷うための旅がある。動きは規則的じゃない。よく分からない移動だ。理由はないまま知らない場所へと向かう。とても静かに、強い意志を持ち、揺れながら動いている。どこかへ行こうとする私たちは、直線や曲線を描いたりしながらくるりと回ってまた同じ場所に帰ってきたりしてしまう。足元を見つめる。何かが落ちている。これは前に拾ったことがあるものか、それともすでに捨てたものか。手を離れてしまって価値を奪われたその何かがこちらを見つめている。ただ漠然と手を挙げてみる。小さな運動だ。何も起きないかもしれない。何が起きるのか分からない。でも私たちは手を挙げることから始めて、明るい未来を見つめ返すのだ。